COLUMN歯科コラム

歯磨き不足?不正咬合は歯周病や虫歯に注意

「歯が前後に重なって生える」「斜めに歯が生える」「受け口」「出っ歯」「すきっ歯」
このような歯の状態のことを、不正咬合(ふせいこうごう)といい、矯正などの歯科治療の対象になります。
矯正治療の目的は審美性(見た目の悪さ)もありますが、虫歯や歯周病の予防にもなります。なぜなら、不正咬合は磨き残しを起こしやすく虫歯や歯周病のリスクを高めるからです。
不正咬合の方は、毎日の歯磨きでプラークを残さないように、デンタルフロスなどを使ったほうがいいでしょう。
そしてプロから歯磨きのコツを習うこともおすすめします。

歯ブラシの毛は意外に弱い

歯ブラシの毛は意外に弱い

歯ブラシの毛の磨く力は、意外に弱いことをご存知でしょうか。なぜなら、毛を強くしてしまうと歯や歯茎を傷つけてしまうからです。歯ブラシは、汚れを取るが歯や歯茎を傷つけないギリギリの強度でつくられているのです。

歯の汚れを鏡で確認しながら磨くと歯ブラシの様子を観察できるのですが、それでも奥歯や歯の裏の様子は見えません。そこで一度、使い古した歯ブラシを使って、台所の清掃をしてみていただきたいのです。歯ブラシの毛が汚れに届いていても「こそぎ出す力」が意外に弱いことがわかります。汚れを完全に落とすには何度も繰り返しブラッシングしなければならないのです。

同じことが口のなかでも起きています。歯ブラシの毛が奥歯の溝に届いていても、その溝のなかに詰まっている歯の汚れは、簡単には取り除けません。
だから歯医者は、歯磨きは1回10~15分くらいかけるよう指導しているのです。

 

不正咬合はさらに汚れを落としにくい

歯並びのよい人でも完璧に歯磨きすることは簡単ではないのですから、歯ブラシが届きにくい空間が多く存在する不正咬合の場合、さらに丁寧に磨く必要があります。
叢生(そうせい)は、歯が斜めに生えたり前後に重なって生えたりする不正咬合の一種ですが、斜めの歯を磨くときは歯ブラシを当てる角度を工夫しないと汚れが取れませんし、前後に重なった歯と歯の間は特に歯ブラシの毛が届きにくい場所です。

 

歯の汚れはなぜ虫歯と歯周病を引き起こすのか

そもそも歯の汚れとは、食べかすのことです。大きな食べかすはうがいをすることで口のなかから追い出すことができます。しかし咀嚼(そしゃく、噛むこと)によって細かく砕かれて唾液と混ざった食べかすは、粘着性があり歯に付着してしまいます。これをプラーク(歯垢、しこう)といいます。プラークであればかろうじて丁寧なブラッシングで除去できます。

しかし歯磨きのときにプラークを残してしまうと、そのうちカチカチに石のように固まってしまいます。その状態の歯の汚れのことを歯石といいます。歯石になるとどれだけ歯ブラシをかけても取り除くことはできません。歯科クリニックで専用の器具を使って除去するしかありません。

虫歯は虫歯菌が引き起こし、歯周病は歯周病菌が引き起こします。プラークも歯石も、菌たちの「巣」になってしまいます。プラークや歯石を歯に付着させている状態は、虫歯菌や歯周病菌を「養っているようなもの」なのです。

 

デンタルフロスや歯間ブラシを使おう

デンタルフロスや歯間ブラシを使おう

不正咬合の方は、歯ブラシだけでは十分に磨くことができません。デンタルフロスや歯間ブラシを使いましょう。
デンタルフロスは、細い紐(ひも)です。紐を歯と歯の間に差し込み、そして引き上げます。そうすることで歯と歯の間の汚れをゴッソリ取り除くことができるのです。
歯間ブラシは爪楊枝(つまようじ)よりも先端が細く尖っていて、これも歯と歯の間の汚れを取り除く器具です。

 

「歯磨きは10~15分が理想」の根拠

歯ブラシを使った歯磨きの時間については、歯医者によって「3~5分で十分」と言ったり、「20分以上必要」と言ったりします。いずれも根拠があってそのように主張しているわけですが、ここでは「10~15分が理想」という見解を紹介します。
成人の歯の本数は、親知らずを除くと上下で計28本になります。汚れを完全に取り除くには、歯1本につき歯ブラシを20回動かすことをおすすめします。20回動かすのに大体10秒必要です。そして歯は表と裏の両方を磨かなければなりません。
つまり、
・28本×10秒×2(表と裏)=560秒=9.333…分≒10分
となるわけです。もう少し入念に磨きたい方は15分かけてもよいでしょう。
ただし20分となると「磨きすぎて歯の表面のエナメル質が削られてしまう可能性がある」と指摘する歯医者もいます。

 

矯正中の歯磨き

矯正中の歯磨き

不正咬合の方のなかには、すでに矯正治療に取りかかっていて、歯にワイヤーやブラケットなどの矯正器具を取りつけている人もいらっしゃるでしょう。
その場合、デンタルフロスはワイヤーに邪魔されて歯の根元に届きません。そのため歯間ブラシを併用したほうがいいでしょう。
また歯ブラシを使うときは、歯と歯茎の境目のブラッシングを通常以上に意識するようにしてください。ワイヤーがなければ歯ブラシの毛が普通に境目に届いている磨き方でも、ワイヤーがあると届かなくなることがあるからです。
できれば定期的に「染め出し剤」を使って、磨けている部分と磨けていない部分を確認してみてください。

 

まとめ~自信がない方は歯科クリニックで習ってください

不正咬合の方はかなり入念に歯磨きをしたほうがよいことをご理解いただけたと思います。デンタルフロスや歯間ブラシといった器具を多用すると同時に、丁寧な歯磨きも心がけてください。
そしてこれが最も肝心なことなのですが、「正しい方法」で行ってください。
そのためには、歯科クリニックに行き、歯医者や歯科衛生士のブラッシング指導を受けてみてはいかがでしょうか。予防歯科に力を入れている歯科クリニックであれば、電話で「ブラッシングに自信がないので正しい方法を教えてほしいのですが」と問い合わせれば、ブラッシング指導に応じてくれるはずです。
ブラッシング指導のときに、隠れた虫歯を発見できるかもしれません。不正咬合の方は、それくらい用心したほうがいいのです。

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